更新:2009年9月18日
さかえ屋グループ 副社長
中野 富美子
さかえ屋グループ 副社長
中野 富美子
今から、30年近く前のことが、おもてなしの心を極めたいと願う私の忘れられない原点となりました。
亡くなった相談役の姉である伯母にお茶の稽古をつけていただいた、ある日のこと。稽古終わり、身支度をしていた私に伯母が「ご飯を食べて帰りなさい。何にもないけど、ご飯を食べて帰りなさい。」とごく自然に、声をかけてくれたのです。
この言葉に甘え食卓に座りました。出てきたご飯は本当に、ご飯とお漬物のシンプルなもの。
白いご飯がご飯茶碗に入っていました。
横に小皿が置かれていました。箸がその下に置いてありました。
この二つは長方形のお膳にのせられて私の前に置かれました。
そして少し大きめの鉢にお漬物が何種類か入っていました。
私に出してくれたものと同じお膳を伯母も自分の前に置いて「いただきます」と言って、食べ始めました。
伯母は又「なんにもないけどね、いただきます」と言いながら、急須のお茶をご飯茶碗に注ぎいれ、さっさっと食べ始めました。
お漬物を小皿に取りながら「なんにもないけど食べなさい」と言っては、さっさっっと口に入れていました。
途切れることのない会話と温かくも自然な空気に包まれ、なぜか緊張の糸がゆるく、ほどけていくようだったと記憶しています。
ご飯と漬物の食事。
この場には人の心を掴み取る会話と雰囲気があった。
ここに座っていることが、何故かうれしい気持になった。
何が私をこの感動に導いてくれたのか?一体これはなんだろう?
飾らない自然の動き、その場の空気 ありのままの姿。
それでいて 相手のことを考えたもてなしの心。
「なんにもないけど」という言葉に込められた、心温まる空気が私に感じられた。相手に押し付けでなく自然な振る舞いに安らいだ気持ちで満たされたのです。
この感性と空気を持つことが出来たなら...と、いつも思います。
短い間のことでしたが、何と学ぶことの多かった出逢いでしょう。
感動と感謝で、「ありがとう」の言葉が自然にでる、そんな人と人とのつながりを温かい"おもてなしの心"で結べたなら、どんなにか素晴らしいでしょう。
"おもてなしの心"をごく自然に伝えられる人でありたい。
そして、それは私どもの社員、ひとり、ひとりにも伝えていきたいと私は願い続けているのです。












